やきいもの想うこと

ADD陰キャ主婦の頭の中

マルチにロックオンされた話

弱っている時に近づいてくる奴は大概宗教かマルチ

マルチ=ねずみ講というシステムを知ったのははるか昔のこと。
関連の社名などはなんとなく風の噂程度には耳にしていた。
実際にはこんな身近に潜んでいるとも知らず。

マルチの女(ここからはA子と呼称する)に出会ったのもその頃、
私はとある会社に勤務し、そこで発達あるあるを連発し、
上司から総スカンもといパワハラといういじめに連日耐え忍んでいた。

そんな時、違う部署だがたまに業務で一緒になるA子と出会う。
周りは年齢が離れている人ばかりの中、A子は年も近いこともあり
たまに業務の合間に話すようになった。

ほどなくして、数々のパワハラに耐えれなくなった私は退職を決意する。
A子が実際に動き出したのはその時だ。

今まで軽い会話はするもの、そこから発展することはなかった間柄だったが、
退職が決まってから、A子からちょくちょく遊びに誘われるようになった。
遊びには、A子が連れてきた友達B、Cが一緒で、コミュ障の私は
(あぁ、これは私が輪に入れないパターンかもしれない)と感じたが、
実際は恐ろしいほど親切で、BとCも何故か私をもてなす形で決して
その3人だけで会話を広げたりもしなかったのを覚えている。

ものすごく違和感を感じたが、その時はこういう親切な人たちも中には
きっと存在するんだろうと思っていた。
が、事態は私の退職後に急展開する。

誘われたカモ

ある日A子からメイクの講習会があるのでこないかと誘いを受けた。
仲間内でメイク用品を使用してメイク方法などを勉強するとのことだ。
コミュ障ながらもメイクや美容に興味があった私はすぐさま頷いた。

メイク講習会当日、私はのこのこA子に誘われるがままとあるマンションの1室へと向かう。そこには先日会ったBとCが既に待っていた。

部屋へ入ると同時に、私は違和感に気づいた。
テーブルに冊子が1冊ポンと置かれていて、その冊子の表紙に
某有名なマルチの会社の名前が書かれているではないか。

あ... これは...。

一瞬で察したものの、まだ来たばかりで帰る口実も思い浮かばない。
何より、相手は3人いるので急に態度を変えて何かあっても困る。

最悪な状態の中和やかに始まるメイク講習会。
私は実験台のように顔に色々塗られ、それを皆が褒めまくるという
おおげさなTVショッピングでよく観るアレを実際にやられた。

素人ながら美容知識は持ち合わせていた私は、反応にとても困った。
顔がピリピリしていると伝えるも、「好転反応だ」と言われる始末。
私は肯定も否定もせず、適当な相槌でやり過ごす。

メイク用品で釣られないと踏んだや否や、
その後は水やキッチン用品などさまざまな物の”良さ”を力説された。
話の内容はこんな感じだ。

B:水って何飲んでる?
私:えっ ミネラルウォーター...
B:今飲んでる水は身体に効果が現れるのが3ヶ月後なんだよ

私:えっそうんなんだ へぇ...(きいたことないわ)
B :食品とかも色々なメーカーのものを取り寄せたりするの大変じゃん?それなら安心できる信頼があるところでまとめて一括で買ったほうが身体にもお財布にもいいよね。そこでこの商....

もうこのあたりで反論するといかに自分達が進める商品がいいかの演説が始まるので、肯定もしないけど、「へーすごいねー(棒)」「良くわかんないからいいやw」でのらりくらりとやり過ごした。

そうすると何が起こるかというと、
今度は私を勧誘側のポジションをやらないかと職をすすめてくるという。
もう商品を売るのは見込みが無いと判断したのか、次は自分たちの組織の話を説明してきだした。

おいおい、勘弁してくれよ...。そんなもの興味があるはずがない。
その後はやたら夢はないか、仲間が沢山いる、成功者(恐らくそのマルチのトップ)の写真を見せてこうなりたくはないか...等

一人暮らしの都会に出てきて間もない、傷ついた若者(当時)を誘い込む甘い台詞ばかり吐いてくる。そんな奴らに対して答えた私の回答はこうだ。

「夢は特に無い。友達沢山いらない。成功者みたいに高級車に乗ることも興味無い」

文字に起こすとちょっとアレだが、実際にそう思っている。
今でもこの考えは変わらない。

そもそも私を何だと思っているのか。
職場いじめに傷付き、鬱状態になっている私に商品を売りつけようとし、それが叶わないなら自分たちの傘下においてそれで甘い汁を吸おうとしている。

そう、私は奴らにとって完璧に「カモ」扱いだったのだ。

講習会のその後

引きつり笑いでなんとかごまかし、長い講習会を無事にやり過ごした。
帰宅後即A子に、「もうこのような誘いは止めてほしい。すごく嫌な思いをした。このような誘いをする場合は絶対にいかない。」と連絡した。

連絡したその後も相手は懲りずに、メイクがダメなら料理会はどうだと、
何度か誘いがきたが、その度に断り、最後は無視した。

あくまで私の予想だが、A子も心からやりたくて意欲的にやっているというよりかは、もう後に戻れずにやるしかなくてやっているように見えた。
仕事も複数掛け持ち夜遅くまで働き、そしてそのお金でマルチの商品ばかりを買わせられる。色々な講習会()という名の似た者同士の集まりで傷を舐め合い、大切な時間とお金を取られ、そして嫌がる相手にこれまた微妙な商品を売りつける。

私から見たA子は全く幸せそうではなかった。
そして、そう思うと同時にその同じ状況に私を追い込もうとしたことに憤慨する。

そこを抜け出すのは簡単なことではないかもしれないが、
もし、似たような境遇にいる人がいたら1日でも早く目を覚まして
現実をしっかりと見つめて欲しい。辛抱強く抜け出す術を探し、
関わりを絶ってほしい。

そしてそうならない為には、自分が相手にとってどういう立場か、
自分が関わることで相手に何のメリットがあるかを真剣に考えてほしい。
決して「カモ」になってしまわないように。