やきいもの想うこと

ADD陰キャ主婦の頭の中

1日で辞めたバイト

立夏を迎え、暑いGWも過ぎてきた。
新しい環境に慣れてくる頃、梅雨にかけて鬱々とした日が始まる。
長い休み明けって嫌なものだね。

ふと過去に就いた職を思いふけると、まぁその数の多いこと。
全部で何社とかはもう記憶にございません。
でも、どういう職場でどんな人が居たかとかは割と覚えている。

意を決して単発バイトへ

あれは10年以上前、私が半分鬱から治りかけの引きこもりだった時だった。
社会復帰のことも頭の片隅にあり、とりあえずの単発の仕事に応募したのだ。
結果はすぐに採用で、すぐ指定の日に働くことになった。

働く場所はあの悪名高き「◯◯◯◯パン工場」。よく春に祭りを開催している会社だ。
この時、禄に下調べもせずに現場に突っ込んでいったことに後悔した。

現場近くに行くと、そびえ立つ監獄のような雰囲気をまとったグレーのタワー。
入口がどこかわからず、親切な別のバイトのマダムが案内してくれた。その際に、バイト先にはいくつかのセクションに分かれており、こことここは止めておいた方が良いなどの情報をいくつかもらった。

こんな人いるんだ、アニメみたい。コミュ障に初見でこんなに有益な情報くれる人アニメかゲームでしかみたことない。

現場に着くと、「じゃあ、頑張ってね」とマダムは既に予定をいれていた「シール貼り」のセクションへ行き、私はその時点で残されていた所へ行くことになるのだが、
それがマダムが警告をしていた「揚げ物」セクションだった。

意を決して持ち場へ行くと、そこはまさに監獄さながら。日も全く当たらない、明かりも薄暗い中で機械の轟音が響いている。揚げ物だらけで油まみれの空気感に、来る場所を間違えたと悟った。

そしてそこに支配人のおっさん(以下おっさん)が待ち構えていた。声がデカくて態度もデカい。初見で私はそいつを警戒した。
さらにそこにバイトリーダーのメガネ君がいるのだが、顔に生気がない。

刑務作業開始

食べ物を扱うので、全身白い衣装を身に纏った私を、そいつらは若い女子だと勘違いした。これが多分良くなかった。

おっさん「若いよね?高校生?」

めがね「若いっスね」

やきいも「えっ?ちがlt」

おっさん「じゃあ説明するから聞いとけよっ!(バンッ)」

否定する前に言葉を遮られ、肩から腕にかけてを想像以上の力で叩かれた。いてぇ。

最初はあのおっさんがどっかに行ったので、スムーズだった。
続々と油の上に流れてくるドーナツをひっくり返す機械を見ているだけのような単純作業だ。なにか異変があれば知らせるとのことだったが、何が異変かそもそもよく分からず、とりあえず大丈夫そうだと勘で作業していたが不安が募りに募って爆発しそうだった。
次にパンの袋が破れていないかなどの点検作業に移動した。同じセクションなのか、おっさんが勢いよく戻ってきた。ひとまず作業の説明をきくことに。

この作業では、袋が破けているかを手で袋を押してチェックする。
空気が抜けていれば別のレーンに流す。そんな単純作業だ。
説明だけ聞くと簡単なのだが、問題はその速さと教える奴の器量だ。

目にも止まらぬ勢いでは無いが、1度流れを止めるとすぐにレーンに品が渋滞して焦る。そんな緊張感の中、開始すぐに判断に困る品が流れてきた。
これはひとまず聞いておくべきだと、おっさんに聞いてみる。

やきいも「これは、空気抜けていますか?」

おっさん「みりゃわかんだろ!抜けてねぇよ、バカ!」

やきいも「....え?あぁ、え...」(うわぁ、何だコイツ)

やっぱりこなきゃよかったと思った。

一方でメガネ君は生気がない顔に反して、手さばきはすごかった。しかし、他に構う余裕がないようで時折ミスを起こしては、彼もおっさんのサンドバッグになっていた。

執拗な見張り

その後作業を続けるも、おっさんがつきっきりで監視してきた。
腕を組み、顔はニタニタと薄気味悪い笑いを浮かべ、足を必要以上に広げ、そしてその足先を上げたり下げたりを繰り返す。
そう、あの「指クイクイおじさん」のように。私の前方斜め向かいの手の届く位置で。

ウザい。最高にウザすぎる。

私が作業にもたつくと、足先の上げ下げのリズムが早くなり、終いには怒号が飛ぶ。

おっさん「ちーがーうー!何やってんだよ!」

そして勢い良く服の袖を引っ張られて身体が不自然にグインってなる。

なんて無駄なエネルギーなんだ。怒号だけで人がうまく動かせるとでも思っているのか。そもそもお前は1度で全部完璧にできたのか。そしてドサクサに紛れて身体を触ろうとするなハゲ(実際はハゲていなかった)

この時の私の感情は怒りに支配されていた。以前女上司に陰湿なパワハラを受けていた時とはまた違った感情だった。

あとすこし

何時間その状態だったろうか。そもそも少ない集中力がさらになくなり、
身体もロボットのように動かすことに疲労を感じていた。

そのとき、何やらおっさんが別の持ち場にいかなければならないようでやっっと、
開放されるときが来た!私はあと少しだけ就業時間があったので(一刻も早く帰りたい)、別のセクションに連れて行かれた。その際も、おっさんは嫌な奴全開だった。

「コイツ、好きに使っていいから!」、と私の両肩をバンバン叩きながら
私の移送先のセクション担当者に言った。
ほんと、銃社会なら撃ってたわ。

そこのセクションは女性だけで仕分けを行っている場所で、若い女性も何人か居た。特に怒られたりすることはなかったが、そこの作業に慣れている人ばかりで、速度が段違いなため、私が作業するとどうしても遅くなってしまう。そんな時にため息をつかれるのが地味にキツかった。

そしてようやく長い長い就業時間が終わり、タイムカードを切る。
本当に嫌な職場だった、そう思った瞬間身体に激痛が走った。
そうだ、たった1日の作業で私はギックリ腰になってしまった。最悪だ。
これから同じような職場に初めて行く人はきをつけてくれたまえ。

最後、翌日以降のシフトを入れるかどうか聞かれたが、答えはもちろんだ。

い・れ・ね・ぇ・よ!